雇用契約とは企業が従業員の労働に対して対価を支払う契約のことを指します。
雇用契約書は、民法第623条に基づいて、企業と従業員の間で雇用契約の内容についての合意がなされたことを証明するものになります。
この民法第623条には強制力はなく、契約書をかわさなくても契約だけで効力が発揮されることになっています。
雇用契約書は作成して書面化しておいたほうが良い
しかし労働契約法では労働者と使用者は労働契約の内容についてできる限り、書面により確認するものとするとされているので、企業側に契約書の作成を促している形になっているのです。
契約書を作成しないことで罰則などはないのですが、労働条件のトラブルに発展しないためにも、書面に残しておいたほうが良いとされています。
多くの大企業などは、労働条件などを明確に記載した雇用契約書の作成をおこなっている現状があります。
労働条件通知書の交付は必須
契約書は雇用契約に双方が合意したことの証明として取り交わされるものなので、それぞれの署名と捺印が必要になります。
労働基準法においては労働者に対して一定の労働条件を明示した書面を交付することが求められているので、労働条件通知書の交付は必須です。
労働条件通知書の交付をしていない場合は、罰則があるので注意する必要があります。
30万円以下の罰金が科せられることがあり、交付された契約の内容が労働基準法に抵触する場合も罰則の対象になります。
雇用契約書の書き方
雇用契約書は、雇用形態によって書き方が変わってきます。
正社員で雇用する場合は、転勤がある場合は社員の生活が大きく変わってしまう事態になるので、就業場所の欄で転勤の可能性を明記する必要があります。
人事異動や携わる業務内容が変更される可能性についても明記しなければならないです。
契約社員の場合は、契約期間とともに契約更新の有無まで記載することが大切になります。
更新の予定が無い場合もその旨をきちんと記載しておく必要があります。
契約更新がある場合は、どのような更新方法になるのかその基準まで記します。
パートやアルバイトの場合は、パートタイム労働法第6条に基づく必要があります。
昇給や退職金・賞与の有無を書面で必ず明示しなければならないのです。
書面だけだはなく口頭での契約締結も可能
雇用契約書をきちんと締結することで、のちに賃金トラブルや解雇などが発生した場合書面の契約書が残っていればトラブルのスムーズな解決に繋がりやすくなります。
書面だけだはなく口頭での契約締結も可能になります。
雇用契約の規定がある民法では書面が必要ではない意思主義が基本の考え方になるので、口頭での契約は可能なのですが、トラブルにならないためにも書面でのこしておく方が望ましいです。
書面で契約することで、従業員が事前に労働条件を理解することがでた上で勤務することになります。
その企業のルールなどもわかるようになるので、従業員の立場から見た場合、働きやすくなるといったメリットもあります。
契約内容を守らなかった場合の法的な強制力はない
雇用契約では契約を守らずに途中で退職してしまうケースもあり、そのような場合は会社に損害が出ることも考えられます。
署名をおこなった契約書は法的効力がありますが、契約内容を守らなかった場合の強制力はないです。
契約書に強制力を加えるのであれば、公正証書を作成する方法があります。
公正証書は公正役場で公証人が作成する文書になり、さまざまな契約書に効力を持たせることができます。
公正証書は費用が高くかかるので、雇用契約書を公正証書にするケースはあまり多くないといった現状があります。
まとめ
雇用契約書は、働く前に目にする書類になり、記載されている内容に必ず目を通すことで後にトラブルになることを回避できるようになります。
署名をする前に契約内容を把握しておくことがとても重要なことになるのです。