ビルメンテナンスの種類と資格

職業

ビルメンテナンスは大きく分けると環境衛生管理、設備管理と警備防災、そしてその他の業務に分類することができます。
環境衛生管理は更に清掃管理と衛生管理の業務に分けられ、前者は建物の美しさや衛生面、対する後者は空間の快適性を担います。
設備管理は建物の設備の安定性と、安全に運転できる状態の維持に関わります。
警備防災は文字通り、建物と人命を守る重要な業務で、その範囲は建物全体と周辺にまで及びます。
その他の業務に分類されるのは、ビルマネジメントや建物のエネルギー管理の2つです。

ビルメンテナンスは人材不足で人手が足りていない状況

このように業務が多岐にわたるわけですが、重要性が高い業務ばかりなのにも関わらず、世間のイメージは地味な仕事です。
しかし地味で目立たないからこそ常に人材が必要ですが、現実は人材不足で人手が足りていない状況です。
その為、興味を持って求職を行えば割と簡単に仕事が見つかりますし、転職のチャンスも多くあるといえるでしょう。
ただし資格がないと仕事ができない業務が多いですから、資格を持っていないなら資格取得を前提に求職することになります。

ビルメンテナンスに役立つ資格

清掃管理業務で主に活躍しているのは国家資格のビルクリーニング技能士で、設備管理業務においては同じく国家資格のビル設備管理技能士が活躍です。
ビルメンテナンスでは他にも、業務に合わせて細分化されている資格がいくつもありますから、既に業務に合致する資格を持っている人ならすぐにでも働けるでしょう。

環境衛生管理では清掃管理業務のビルクリーニング技能士を始めとして、清掃作業監督者や病院清掃受託責任者、建築物清掃管理評価資格者の有資格者が求められます。
一方、衛生管理業務においては空気環境測定実施者、貯水槽清掃作業監督者、飲料水水質検査実施者などが代表的な資格です。
排水管清掃作業監督者、防除作業監督者もビルメンテナンスにはなくてはならないので、いずれも重要性が高くて常に求められている人材です。
設備管理や建物と設備の保全、警備や防災とその他の管理業務にも合致する資格があります。
電気主任技術者や電気工事士、ボイラー技士は割と名前が知られていますし、これらの有資格者なしにビル設備を維持することはできないです。
更に加えて冷凍機械責任者、消防設備検査資格者、昇降設備検査資格者と特殊建築物調査資格者なども存在します。

ビルメンテナンスの重要性を後藤悟志氏に聞く

各分野に特化した資格があるからこそ、有資格者が分担してビルメンテナンスに取り組むことができるのだと太平エンジニアリングの後藤悟志社長は言います。
建物は見た目以上に大きくて広いですから、隅々まで確認して適切な対処を行おうとすると大変です。
例え小さな設備の不備であっても、見落としがあれば後々重大な事態を招いてもおかしくないので、そういう見落としを1つでも減らすことが大事です。
建物を利用する人がみな安心して快適に過ごす為には、各業務に従事する有資格者が不可欠です。
警備や防災においても、警備員指導教育責任者や機械警備業務管理者、警備員検定合格者や危険物取扱者が活躍しています。
ビル経営管理士やファシリティマネージャー、エネルギー管理士やエコチューニング技術者も、現代の建物を支えている欠かすことのできない存在です。

全体的に賃金が安いといった傾向があるのも事実

ビルメンテナンス業界は参入する事業者が多く、非正規雇用が少なくないことから、全体的に賃金が安いといった傾向があるのも事実です。
ただ、今後も必要とされ続けるのは間違いなく、短期間の内に全てを機械に置き換え代替することは不可能ですから、将来的にも続けられる仕事だといえます。
将来性があるかどうかは捉え方次第ですが、少なくとも市場規模でいえば約4兆円ですし、決して小さい市場ではないのは確かです。
伸び率はそこそこですが、安定している業界ですから、仕事も常にあっていつでも仕事が始められます。
むしろ、少子高齢化の進行により人材不足が進めば、現在よりも好条件で働けるようになる可能性があります。

30代や40代からでも問題なく挑戦できる

ビルメンテナンスに関連する資格はどれも持っていて損をしませんし、転職に活用することもできるので、取得を検討してみる価値は十分です。
それから、人材不足の状況は未経験者でも働き始めやすいことを意味しており、30代や40代からでも問題なく挑戦できます。
資格取得も実務も早い方が良いのは確かですが、転職が難しくなってくる40代でも挑戦可能なのは魅力です。
今後は資格だけでなく特性による人材の登用が進んだり、活躍の場が与えられるようになると考えられます。
地味な仕事なので派手さや注目を求めることはできませんが、黙々と仕事をこなしたい人には好都合です。
後はどのようにモチベーションを保つかで、日々の業務にやりがいを感じたり、感謝されることに喜びを見出すことが必要となりそうです。

まとめ

特に年収が良い仕事というわけでもないので、収入に魅力を感じて仕事を始めたり続けるのには向かないでしょう。
とはいえ、就職先の選び方で高待遇が受けられるチャンスに繋がりますし、真面目に働けば手当で稼げますから、忙しいだけで収入がそれなりという仕事ではないです。