戒告とは?他の処分と異なるポイントを解説

労働問題

戒告は民間企業や国家公務員、地方公務員の懲戒処分のことで、懲戒責任に応じ将来を戒める目的で行われます。
懲戒処分には他にも減給や停職、免職があって、処分としては一番軽いものとなります。
ただし、公務員でこの処分を受けた人は、昇給が遅れる昇給の延伸となるので注意です。

【関連】戒告とは?処分の内容や意味をわかりやすく解説

処分の対象となるケース

処分の対象となるのは、過失や失態に非行が認められた人で、職務を怠った場合にも同様の処分が下される可能性があります。
公務員の間で従来は譴責ともいわれていましたが、不正や過失を戒めるという意味では同じで、平たくいえばやったことを叱り責めて反省を促すこととなります。
怒られて済むだけならまだ良いですが、場合によっては昇給延伸もセットですから、油断して再び戒告を受けるようなことはもうできないです。
同じ過ちの繰り返しは、それこそ1つ上の減給となる恐れがあるので、処分を受けたらしっかりと反省して繰り返さないことが大切です。

民間企業の場合はただ単に注意の意味で戒告が用いられることもある

民間企業の場合は、文書や口頭で厳重注意が行われ、給与や昇給にも影響がないことが多いです。
就業規則にない企業だと、ただ単に注意の意味で戒告が用いられています。
民間企業の譴責はいわゆる始末書ものの処分で、始末書の提出と将来の戒めがセットとなります。
始末書は謝罪や反省文、同じことをしない誓約が内容の中心ですが、提出しないという選択も可能です。
しかし、理由なく始末書を提出しないと印象が悪くなり、人事考課や賞与算定にといった査定に響くことは避けられないでしょう。
それでも減給に比べればまだマシな方ですし、経済的な不利益に直結することは少ないです。

減給からが本格的に厳しいと感じ始める処分

減給からが本格的に厳しいと感じ始める処分で、本来支払われるはずの賃金から一部が差し引かれるというペナルティです。
差し引かれる金額の上限は労働基準法で定められており、1回あたりの額が平均賃金の1日分の半額を超えたり、総額が1賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはいけない決まりです。
無断欠勤や遅刻といった場合は、実際に働いていない時間が発生するので、賃金を差し引いてもそれは減給にはならないです。
このようなケースは欠勤控除として扱われ、制裁の性格がある減給とは分けて考えられます。

一定期間欠勤扱いとなる出勤停止

一定期間欠勤扱いとなる出勤停止は、賃金が発生しない減給よりもある意味でペナルティが重い処分です。
期間は数日から1週間、長くても1ヶ月程度ですが、1ヶ月の無給となると流石に堪えるでしょう。
ちなみに、長期に及ぶ出勤の停止を停職ともいい、公務員は減給の上が停職となっています。
降格は役職がある人が文字通り降格する処分で、それは職位だったり職能資格も対象となります。
降格の内容は就業規則に定めておくことが必要なので、就業規則にない降格は認められないです。
肩書が変わる上に、降格によって給与も減ることになりますから、処分としてはかなり重いことが分かります。
更に上は退職願の提出の有無に応じて処分が決まる諭旨解雇、一方的に解雇される懲戒解雇なので、降格処分を受ければもう後がないです。

免職は公務員が解雇されて職を失ったことを意味する

公務員は停職の次が免職で、民間企業における解雇と同等の処分に位置づけられています。
ニュースで耳にする懲戒免職処分というのは、公務員が解雇されて職を失ったことを意味するわけです。
改めて戒告に目を向けると、非常に軽い処分で優しさすら感じられます。
将来的に昇給に影響はあるとしても、とりあえず現在の給与が減る心配はないです。
当面は厳しい目が向けられることになるでしょうが、少なくとも仕事を任せてもらえなかったり、もう来るなとは言われないです。

訓告は懲戒処分に当たらない

公務員には戒告に似たものに訓告が存在しますが、訓告は懲戒処分にあたらず、制裁の性格はない厳重注意の類です。
口頭だけでなく文書で注意されることもありますが、戒告よりも給与や昇給に影響しないです。
とはいえ、記録に残されたり査定に影響しないとは言い切れないので、いずれの処分も一度も受けないことが理想となります。

懲戒処分は転職をすれば関係ない

懲戒処分は企業内、あるいは公務員の間で通用するものですから、転職をすれば関係ないです。
履歴書の賞罰欄にも基本的には書きませんから、再就職となればどのような処分を受けていてもリセットできます。
油断すれば同様の失敗を繰り返すことになりますし、同じ業界の企業に再就職をすれば、噂が伝わり再就職先の企業の耳に入ることもあり得ます。
重大なミスや厳重な処分でなければ心配はないでしょうが、決して嬉しいものではないので、やはり処分は受けないに越したことはないです。

まとめ

余談ですが、賞罰欄の罰に該当するのは行政罰ではなく、刑法における犯罪にあたるものです。
うっかり交通違反をしてしまった程度なら書かなくても良いですが、有罪になった経験がある人は書かなくてはいけないです。
この為、懲戒処分を受けて履歴書の賞罰欄になにか書くことがあるとしたら、犯罪によって処分された場合となります。
仕事のミスはいけませんが、悪意がなくて犯罪になるものでもなければ、厳重注意を受けたり昇給に影響する程度で済みますし、転職や再就職の際に伝える義務もないです。