未払い残業代を取り戻すために努力しよう

労働問題

毎月当たり前のようにサービス残業を続けているとため息をついている人も多いかもしれませんが、ここで諦めてはなりません。
何故かと言うと、実は未払いの残業代を取り返す方法がいくつか存在しています。
様々な請求方法についての知識をしっかりと頭に入れておくだけで、その分回収できる可能性がぐんと高まります。
残業をしたのにもかかわらず、割増賃金が支払われていない場合には、これはつまり未払い残業代があるということです。

【関連】未払い残業代を請求されたら!会社側の反論方法を弁護士が解説

未払いの残業代の請求方法

未払い残業代を請求することを記載した内容証明郵便を送る

請求方法にはいくつかの方法がありますが、その一つにまず最初に会社と交渉をすることです。
時間外労働や休日労働、深夜労働などどれをとっても残業に当たりますが、このような事実を証明する証拠をまずは揃えた上で、証拠をもとに請求できる残業代を計算しましょう。
そしてこれをもとに会社と直接交渉を行うのです。
直接会社に自分から交渉するのであれば、未払い残業代を請求することを記載した内容証明郵便を送ることがまずは第一です。
この内容証明郵便を送ると、残業代を含む賃金請求権の消滅時効を半年間止めることができるようになります。
残業代を含む賃金請求権の消滅時効期間は、2020年3月31日までに支払期日が到来したものが2年間、それ以降のものは3年間とされています。
内容証明郵便を送ることで、会社が話し合いの場を設けてくれれば、そこで残業代の支払いを認めてもらえるように求めていきましょう。
残業代の計算書は内容証明郵便とは別で送ることを覚えておきます。

労働審判を行使する

そして二つ目の方法が労働審判と呼ばれる方法です。
内容証明郵便を送ったけれども、会社が全く対応しない場合には、法的な手続きを行うことになるでしょう。
労働審判は法的手続きの一つにあたり、事業主と労働者との間の問題を迅速に、そして適正に解決する制度のことを指しています。
裁判官1人、労働関係の専門家2人が2者の間に入って話し合いが行われることになります。
原則として3回以内で終了することになるでしょう。
その結果に対し当事者から異議申し立てが行われた場合には、通常の訴訟手続に移ることになります。

少額訴訟を行う

そして三つ目が少額訴訟と呼ばれるものです。
少額訴訟とはどのようなことなのかと言うと、60万円以下の金銭の支払いを簡易裁判所に対して求めることを指します。
一度の審理で問題を解決することができるでしょう。
未払い残業代を計算した上で、60万円以下であると分かった場合に利用できます。
少額訴訟の場合には、簡易裁判所に行き手続きを行うことで、裁判所から会社に訴状が送られることになります。
労働者と使用者が集まり、未払い残業代について審理を行っていくのです。
少額訴訟は弁護士を立てなくても問題ないものの、証拠調べで判決を下すため、確かな証拠が必要です。

通常訴訟を行う

そして四つ目が通常訴訟と呼ばれるもので、残業代が140万円を超える場合には地方裁判所、それ以下であれば簡易裁判所に対し提起します。
付加金や遅延損害金等の支払いが認められることもあり、受け取る金額が高額になるケースもあるでしょう。
しかし証拠を調べたり尋問等の手続きを行わなければならず、判決が下されるまでには、なんと1年以上もの年月がかかることもあります。

未払い残業を請求する前の準備

このようにいくつかの方法があることがわかりますが、未払い残業を請求する前には、いくつかの準備をしっかりと行っておきましょう。

未払い残業の証拠を集める

その一つが未払い残業の証拠を集めることです。
残業があった事実を証明する証拠が必要です。
この事実は残業代を請求する労働者が立証する必要があるため、その証拠も自分で集めなければならないのです。
証拠を集める時にも2年、もしくは3年の時効に十分な注意が必要です。
未払いを証明するために必要となる証拠には、労働条件に関するもの、労働時間の実態に関するもの、支払い賃金の実態に関するものが必要です。
具体的には雇用契約書や就業規則、タイムカードやパソコン使用時間などの客観的な記録、給与明細書等が該当するでしょう。

残業代を計算する

次に残業代を計算することになります。
計算する方法はまず最初に基礎賃金を算出しなければなりません。
つまりは時給のようなものに当たり、月給制であれば1ヵ月あたりの基礎賃金÷1ヵ月の平均所定労働時間で求めることが可能です。
算出する際には、通勤手当や住宅手当て等の手当て等は差し引き計算することが大切です。
実際の残業時間にかかわらず、一定の残業したと想定される分の割増賃金をあらかじめ給料に含めているものがみなし残業代と呼ばれるものです。
この場合には固定残業代に相当する時間を超えた分に対し割増賃金が別途発生することになるでしょう。

まとめ

そして最終的には弁護士に依頼をすることになります。
弁護士に依頼することにより、残業代を取り戻せる可能性は大いに高まります。
証拠を集める際のアドバイスももらえ、未払い残業代の計算は非常に複雑ですがこれも適切に行ってもらえます。
なんといっても会社との交渉を全て任せられる点がメリットです。
会社との交渉で解決しなければ、少額訴訟、通常訴訟等といった法的な手段で立ち向かわなければなりませんが、その際には弁護士の力は大いに役立つはずです。